委託販売の書類管理

委託販売の納品書と精算書の違いをわかりやすく解説

委託販売を始めると、「納品書と精算書は何が違うのか」「両方作成する必要があるのか」と迷うことがあります。

納品書は「委託先へ何を何点預けたか」を確認する書類です。一方、精算書は「何が何点売れて、最終的にいくら支払われるか」を確認するために作成します。

この記事では、両者の違い、それぞれに記載する項目、納品から売上精算までの流れをわかりやすく解説します。

委託販売の納品書と精算書の違い

納品書と精算書の主な違いは、次のとおりです。

比較項目納品書精算書
主な目的預けた商品と数量を確認する売上・手数料・支払額を確認する
作成するタイミング商品を納品するとき締め日や販売期間の終了後
主な記載内容商品名・品番・販売単価・納品数販売数・販売金額・手数料・支払額
数量の意味委託先へ預けた数量実際に売れた数量
金額の意味販売予定価格など実際の販売実績に基づく金額
在庫管理との関係入庫数の記録に使う販売数や返品数の確認に使う
主な確認者委託者と委託先委託者と委託先

納品書は「商品を預けた記録」

委託販売では、商品を店舗へ渡した時点で、その商品がすべて売れたとは限りません。アクセサリーを10点納品した場合、納品書には商品名や販売単価とともに「納品数10点」と記載します。

この段階では商品を委託先へ預けたことを記録しているだけで、実際の販売数や売上金額はまだ確定していません。

精算書は「売上と支払額の記録」

精算書は、締め日やイベント終了後などに実際の販売結果をまとめる書類です。納品した10点のうち3点が売れた場合は、販売数3点と販売金額を記載し、販売手数料などを差し引いて委託者へ支払う金額を確定します。

つまり、納品書は商品の受け渡し、精算書は売上金の受け渡しを確認するための書類です。

委託販売の納品書とは

委託販売の納品書は、作家や事業者が販売店へ預けた商品を一覧にした書類です。ハンドメイド作品、雑貨、衣料品、焼き菓子などを店舗へ委託するときに、商品と一緒に渡します。

納品書を作成する目的

  • 何の商品を預けたか確認する
  • 商品ごとの納品数を明確にする
  • 納品漏れや数量の認識違いを防ぐ
  • 追加納品の履歴を残す
  • 販売数や返品数と照合できるようにする
  • 現在庫を確認しやすくする

口頭やメッセージだけで納品内容を伝えると、後から「何点預けたか分からない」「どの商品を返却したか確認できない」といった問題が起こる可能性があります。商品数が少ない場合でも、納品のたびに記録を残しておくと安心です。

納品書を作成するタイミング

  • 初めて商品を委託先へ預けるとき
  • 売れた商品を追加で納品するとき
  • 新商品を納品するとき
  • イベントや期間限定ショップへ商品を搬入するとき
  • 商品の入れ替えを行うとき

追加納品を行う場合は、以前の納品書へ書き足すのではなく、納品日ごとに新しい納品書を作成すると履歴を追いやすくなります。

委託販売の納品書に記載する項目

  • 納品書番号
  • 納品日
  • 委託者の氏名または屋号・連絡先
  • 委託先の店舗名
  • 商品名
  • 商品番号・品番
  • 販売単価
  • 納品数
  • 備考

商品番号や品番は必須ではありませんが、似た名前の商品や色違いの商品がある場合には、付けておくと管理しやすくなります。

委託販売の納品書の記載例

ハンドメイドアクセサリーを店舗へ納品する場合は、次のように記載します。

商品番号商品名販売単価納品数備考
AC-001パールイヤリング2,000円5点ホワイト
AC-002フラワーピアス2,500円3点ブルー
AC-003ビーズブレスレット1,800円4点サイズ調整可

この例では合計12点を預けていますが、納品書に記載された金額は販売予定価格です。この時点で12点分の売上が発生したわけではありません。

委託販売の精算書とは

委託販売の精算書は、一定期間の販売実績を集計し、委託者へ支払う金額をまとめた書類です。販売金額から契約で決めた販売手数料などを差し引き、その計算内容を双方で確認するために使用します。

精算書を作成する目的

  • 実際に売れた商品を確認する
  • 商品ごとの販売数を確認する
  • 販売金額を明確にする
  • 販売手数料を確認する
  • 委託者へ支払う金額を確定する
  • 売上金の支払記録を残す

精算書がないと販売金額と振込金額が一致しない場合に理由を確認しにくくなります。販売手数料やその他の費用を明確にし、双方の認識違いを防ぐためにも計算の内訳を記載しましょう。

精算書を作成するタイミング

  • 毎月の締め日
  • 販売イベントや期間限定販売が終了したとき
  • 委託契約を終了するとき
  • 売上金を支払う前
  • 売れ残った商品を返却するとき

たとえば「毎月末締め、翌月15日払い」という契約であれば、月末までの販売実績を集計して精算書を作成します。

委託販売の精算書に記載する項目

  • 精算書番号・作成日・売上の対象期間
  • 委託者の氏名または屋号
  • 委託先の店舗名
  • 商品名・商品番号
  • 販売単価・販売数・販売金額
  • 手数料率・手数料額
  • その他の控除額
  • 委託者への支払額
  • 支払予定日・振込先・備考

手数料以外に送料、振込手数料、出店料などを差し引く場合は、「その他費用」とまとめるだけでなく、費用の名称と金額を分けて記載すると分かりやすくなります。

委託販売の精算額の計算方法

委託販売の基本的な精算額は、次の計算式で求められます。

販売金額 = 販売単価 × 販売数

手数料額 = 販売金額 × 手数料率

支払額 = 販売金額 − 手数料額

たとえば、販売単価2,000円の商品が3点売れ、販売手数料率が30%だった場合は、次のように計算します。

販売金額:2,000円 × 3点 = 6,000円

手数料額:6,000円 × 30% = 1,800円

支払額:6,000円 − 1,800円 = 4,200円

この場合、委託先の販売手数料は1,800円、委託者へ支払う金額は4,200円です。複数の商品が売れた場合は、商品ごとに販売金額を計算してから合計します。

より詳しい計算方法は、委託販売の手数料相場と計算方法でも解説しています。

委託販売先から委託者へ販売実績や支払額を知らせる書類は、 精算書のほかに支払明細書や支払通知書と呼ばれる場合もあります。 支払明細書の役割や精算書との使い分けについては、委託販売の支払明細書とは?精算書との違いと作り方で詳しく解説しています。

納品から精算までの基本的な流れ

1委託販売の条件を決める

最初に、委託者と委託先で次の販売条件を決めます。

  • 商品の販売価格と販売手数料率
  • 委託期間、売上の締め日、支払日
  • 振込手数料の負担者
  • 値引き販売の可否
  • 売れ残った商品の扱い
  • 破損・紛失・返品・交換が発生した場合の対応

認識違いを防ぐため、契約書や確認書などに残しておくと安心です。

2商品と納品書を委託先へ渡す

商品を預けるときは納品書を一緒に渡し、双方で商品名と数量を確認して、それぞれが控えを保管します。

3委託先が販売実績を記録する

委託先は、商品が売れるたびに販売日、商品名、販売数、販売価格などを記録します。商品番号を使用すると、納品書と売上記録を照合しやすくなります。

4締め日に売上を集計する

対象期間中の売上を集計し、返品、値引き、キャンセル、破損などがなかったかも確認します。

5精算書を作成して双方で確認する

販売数、販売金額、手数料、支払額を計算して精算書を作成します。委託者は精算書の内容と実際の入金額が合っているか確認します。

6支払いと売れ残り商品の返却を行う

精算内容に問題がなければ売上金を支払い、委託期間が終了する場合は売れ残った商品の数量も確認して返却します。

納品書だけでは売上の精算ができない理由

納品書に商品名、数量、販売単価が記載されていても、納品書だけで売上の精算を行うことはできません。

納品数と販売数は異なる

委託販売では、納品した商品がすべて売れるとは限りません。10点納品して3点売れた場合、売上として計算するのは3点分だけです。

手数料を差し引く計算が必要になる

納品書には通常、実際の販売金額や手数料額が確定した状態では記載されていません。売上確定後に精算書を作成し、販売金額から販売手数料などを差し引く必要があります。

返品・値引き・破損を反映する必要がある

  • 商品が返品された
  • セールで値引き販売した
  • 商品が破損した
  • 販売後に注文がキャンセルされた
  • 商品を途中で引き上げた

精算書では、このような実際の販売結果を反映して支払額を計算します。

納品書と精算書を作るときの注意点

商品名や商品番号を統一する

納品書では「パールイヤリング」、精算書では「白イヤリング」のように異なる名称を使うと、同じ商品か分かりにくくなります。納品書、売上管理表、精算書で共通の商品名や商品番号を使用しましょう。

納品数・販売数・返品数を照合する

在庫数を確認するときは、基本的に次の関係が成り立つか確認します。

納品数 − 販売数 − 返品数 = 現在庫数

追加納品や商品交換があった場合は、その数量も含めて計算します。数量が合わない場合は、売上や返品の記録漏れ、商品の破損・紛失などがないか確認しましょう。

管理項目や表の作り方は、委託販売の売上管理表の作り方で詳しく紹介しています。

手数料に含まれる費用を決めておく

  • 販売手数料
  • 振込手数料
  • 商品の送料・返送時の送料
  • 出店料・棚代
  • 決済手数料
  • 包装資材などの費用

精算書では、契約内容に合わせて控除項目を分けて記載します。

消費税の扱いを確認する

販売価格や販売手数料について、税込金額と税抜金額のどちらを基準に計算するのかを決めておきます。必要な税務処理は事業形態や契約内容で異なるため、不明な場合は税理士などの専門家へ確認してください。

作成した書類をまとめて保管する

納品書、売上管理表、精算書、入金記録を一緒に確認できるように保管します。PDFや表計算ファイルには、対象期間や委託先が分かるファイル名を付けましょう。

2026-08_〇〇店_納品書

2026-08_〇〇店_売上管理表

2026-08_〇〇店_精算書

納品書・精算書・請求書の違い

委託販売では、納品書や精算書のほかに請求書を使用することがあります。

書類主な役割主な作成タイミング
納品書預けた商品と数量を確認する商品の納品時
精算書売上・手数料・支払額を確認する締め日や販売終了後
請求書相手に代金の支払いを求める請求金額の確定後

精算書があれば請求書は不要なのか

精算書だけで支払いまで行うのか、精算書を確認した後に委託者が請求書を発行するのかは、契約や取引方法によって異なります。

  • 委託先が精算書を作成し、その金額を委託者へ支払う
  • 委託先が売上明細を提示し、委託者が請求書を発行する
  • 委託者が精算書兼請求書を作成する

書類の重複や発行漏れを防ぐため、取引を始める前に「誰が、いつ、どの書類を作成するか」を決めておきましょう。

精算書と請求書を誰が発行するのか、精算書だけで支払う場合と 両方を使用する場合の違いについては、委託販売の精算書と請求書の違いで詳しく解説しています。

委託販売の書類を効率よく管理する方法

商品数や販売件数が少ない場合は表計算ソフトでも管理できますが、商品数や委託先が増えると、同じ情報を納品書、売上管理表、精算書へ何度も入力することになります。

少量の商品なら表計算ソフトでも管理できる

商品名、販売単価、納品数、販売数などを表にまとめ、最初に商品番号と入力項目を統一しておくことが大切です。

商品数や委託先が増えると転記ミスが起きやすい

  • 別の店舗の販売数を入力してしまう
  • 手数料率を間違える
  • 販売数を二重に集計する
  • 商品名の表記が統一されていない
  • 支払額の計算式を間違える
  • 古いデータを上書きしてしまう

毎月同じ作業を繰り返す場合は、入力と計算を簡単にする仕組みが必要です。

売上データから精算書を作成できるツールを利用する

委託販売専用の精算書作成ツールを利用すると、販売単価、販売数、手数料率を入力して、販売金額や支払額を計算できます。手作業で計算する項目を減らせるため、毎月の精算作業を効率化しやすくなります。

委託販売の納品書と精算書に関するよくある質問

納品書と精算書は両方必要ですか?

納品書と精算書は役割が異なるため、両方を作成しておくと取引内容を確認しやすくなります。納品書は預けた商品、精算書は実際の販売結果を記録します。

納品書は作家と販売店のどちらが作成しますか?

一般的には、商品を納品する作家や委託者が作成します。ただし、販売店が指定の納品書や管理システムを用意している場合もあります。

精算書は誰が作成しますか?

販売実績を管理している委託先が作成する方法が分かりやすいですが、契約によっては委託者が売上報告を基に作成する場合もあります。

商品が1点も売れなかった月も精算書は必要ですか?

必ずしも毎月同じ形式の精算書を作成するとは限りませんが、売上が0円だったことを双方で確認できる記録は残しておくと安心です。

売れ残った商品は精算書に記載しますか?

精算書は販売実績を中心とした書類ですが、必要に応じて売れ残り数や返却数を記載することもできます。

納品書や精算書に押印は必要ですか?

押印の扱いは契約内容や委託先の運用ルールによって異なります。押印を省略する場合でも、作成者・作成日・対象期間・取引先が分かるようにしましょう。

精算書をPDFで渡しても問題ありませんか?

相手が確認・保存できる方法であれば、PDFで共有する運用も可能です。ただし、委託先が紙での提出を指定していないか事前に確認しましょう。

まとめ|納品書と精算書を使い分けて委託販売の取引を明確にしよう

  • 納品書は、委託先へ預けた商品と数量を確認する書類
  • 精算書は、実際の売上・手数料・支払額を確認する書類
  • 納品書は商品の納品時、精算書は締め日や販売期間の終了後に作成する
  • 納品数と販売数は異なるため、納品書だけでは売上を精算できない
  • 商品名や商品番号を統一すると、納品・販売・在庫を照合しやすい
  • 手数料やその他の費用は、精算書に内訳を記載する

委託販売では、商品を預けた記録と実際に売れた商品の記録を分けて管理することが大切です。販売件数が増えて手計算や転記が負担になった場合は、精算書作成ツールを活用すると毎月の作業を効率化できます。

itaku-noteを使えば、販売単価、販売数、手数料率を入力して、販売金額や支払額をまとめた委託販売の精算書を作成できます。計算ミスを減らし、双方が確認しやすい精算書を作りましょう。

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