委託販売の売上管理

委託販売の売上管理表の作り方
Excel管理の注意点も解説

委託販売を始めると、商品の納品だけでなく、売れた商品や販売手数料、入金状況なども管理する必要があります。

委託先が1店舗だけで販売件数も少ないうちは、簡単なメモでも把握できるかもしれません。しかし、商品数や委託先が増えると、「どの商品がいくつ売れたのか」「手数料を差し引いた支払額はいくらか」が分かりにくくなります。

そこで作成しておきたいのが、委託販売の売上管理表です。この記事では、売上管理表に必要な項目やExcelでの作り方、計算式、管理するときの注意点を解説します。

委託販売では売上管理表を作っておくことが重要

委託販売は、自分で直接商品を販売する場合よりも管理する項目が多くなります。商品を店舗へ預けたあと、実際に売れた数量や売上金額を委託先から報告してもらい、販売手数料などを差し引いた金額を受け取るのが一般的な流れです。

そのため、少なくとも次の情報を管理する必要があります。

  • どの委託先で販売されたか
  • どの商品が売れたか
  • 何個売れたか
  • 売上金額はいくらか
  • 販売手数料はいくらか
  • 実際に受け取る金額はいくらか
  • 入金が完了しているか

委託先から販売報告書を受け取っていても、それだけでは複数店舗の売上をまとめて確認しにくい場合があります。

自分でも売上管理表を作成しておけば、委託先別・商品別・月別の販売状況を確認しやすくなります。入金額の照合や、会計帳簿へ記録するときの資料としても役立ちます。

委託販売の売上管理表に必要な項目

委託販売の売上管理表には、販売実績だけでなく、手数料や入金状況を確認できる項目を設けましょう。最低限入れておきたい項目は次のとおりです。

項目記載する内容
販売日商品が売れた日
委託先名販売した店舗・イベント名
商品名販売した商品の名称
商品番号商品を識別する品番やSKU
販売単価お客様への実際の販売価格
販売数量売れた個数
売上金額販売単価×販売数量
手数料率委託先へ支払う販売手数料の割合
手数料額売上金額×手数料率
その他の費用振込手数料や出店料など
支払予定額売上金額から手数料などを差し引いた金額
入金日実際に入金された日
入金状況未入金・入金済みなど
備考返品や値引きなどの補足情報

商品数が多い場合は、商品名だけでなく商品番号やSKUも記録しておくことが重要です。似た名称の商品が複数ある場合でも、商品番号があれば販売実績と在庫を正確に照合しやすくなります。

Excelで委託販売の売上管理表を作る方法

Excelで管理表を作る場合は、入力する項目と自動計算する項目を分けておくと使いやすくなります。ここでは、基本的な作成方法を順番に解説します。

1.管理表の列を作成する

最初に、Excelの1行目へ管理項目を入力します。例えば、次のような順番です。

項目
A列販売日
B列委託先名
C列商品名
D列販売単価
E列販売数量
F列売上金額
G列手数料率
H列手数料額
I列その他の費用
J列支払予定額
K列入金日
L列入金状況
M列備考

基本的には、1行に1商品または1回の販売記録を入力します。委託先名や商品名の表記が毎回異なると、あとから正しく集計できないことがあります。

「雑貨店A」と「雑貨店 A」のような表記揺れを避けるため、入力規則のプルダウンを使う方法もおすすめです。日付、金額、割合のセルには、それぞれ適切な表示形式を設定しておきましょう。

2.売上金額を計算する

売上金額は、販売単価に販売数量を掛けて計算します。

=販売単価×販売数量

販売単価がD列、販売数量がE列の場合、F2セルには次の数式を入力します。

=D2*E2

販売単価が2,000円、販売数量が2個なら、売上金額は4,000円です。数式を下の行にもコピーしておけば、新しい販売記録を入力するたびに自動計算されます。

3.販売手数料を計算する

販売手数料は、基本的に売上金額へ手数料率を掛けて計算します。

販売手数料=売上金額×手数料率

売上金額がF列、手数料率がG列の場合、H2セルへ次の数式を入力します。

=F2*G2

売上金額が4,000円で手数料率が30%なら、販売手数料は1,200円です。手数料率のセルには「30」ではなく「30%」と入力してください。

実際の手数料計算では、消費税や端数処理の方法が委託契約によって異なる場合があります。契約書や委託先の精算ルールも確認しましょう。

4.支払予定額を計算する

支払予定額は、売上金額から販売手数料とその他の費用を差し引いて計算します。

支払予定額=売上金額-販売手数料-その他の費用

売上金額がF列、販売手数料がH列、その他の費用がI列の場合、J2セルへ次の数式を入力します。

=F2-H2-I2

売上金額が4,000円、販売手数料が1,200円、その他の費用が0円なら、支払予定額は2,800円です。振込手数料をどちらが負担するかによっても、実際の入金額は変わります。

5.委託先別・月別に集計する

販売記録が増えてきたら、明細を入力する表とは別に集計表を作成すると便利です。Excelでは、SUMIF関数やSUMIFS関数を使って、委託先別・月別に売上を集計できます。

B列の委託先名が「雑貨店A」と一致する売上金額を合計する例です。

=SUMIF(B:B,"雑貨店A",F:F)

ピボットテーブルを利用すると、次のような集計も比較的簡単に作成できます。

  • 委託先別の売上合計
  • 商品別の販売数量
  • 月別の売上推移
  • 委託先別の販売手数料
  • 入金済み・未入金の金額
  • 商品ごとの売上ランキング

売上金額だけでなく、販売手数料と支払予定額も同じ条件で集計しておきましょう。

委託販売の売上管理表の記入例

委託販売の売上管理表は、次のように記録します。

販売日委託先商品名単価数量売上手数料率手数料支払予定額
2026/8/1雑貨店AピアスA2,000円24,000円30%1,200円2,800円
2026/8/3雑貨店AポーチB3,000円13,000円30%900円2,100円
2026/8/5カフェBバッグC5,000円15,000円25%1,250円3,750円

上記の販売実績を合計すると、次のようになります。

売上合計12,000円
手数料合計3,350円
支払予定額8,650円

実際の管理表には、入金日や入金状況、振込手数料、備考なども追加します。委託先から受け取った販売報告と照合し、数量や金額に違いがないことを確認してから支払予定額を確定しましょう。

Excelで委託販売を管理するときの注意点

Excelは自由に項目や計算式を設定できる便利な方法ですが、入力や数式の管理を自分で行う必要があります。特に、次の点には注意しましょう。

委託先ごとに手数料率が異なる

委託販売の手数料率は、すべての店舗で同じとは限りません。例えば、雑貨店Aは30%、カフェBは25%というように、委託先ごとに異なることがあります。同じ店舗でも、通常販売と催事販売で手数料率が変わる場合があります。

過去の手数料率をそのままコピーせず、契約内容や対象期間を確認して入力しましょう。

  • 税込価格と税抜価格のどちらを基準にするか
  • 値引き後の売上から手数料を計算するか
  • 手数料に対する消費税の扱い
  • 1円未満の端数を切り捨て、切り上げ、四捨五入のどれで処理するか

値引き販売やセールに注意する

セールやクーポンなどで商品が値引きされた場合は、通常価格ではなく実際の販売価格を記録します。通常2,000円の商品を1,800円で販売した場合、管理表の販売単価には1,800円を入力します。

備考欄へ「期間限定セール」「店舗クーポン利用」などの理由を記録しておくと、あとから金額を確認しやすくなります。

  • 誰の判断で値引きできるか
  • 値引き額を誰が負担するか
  • 手数料を値引き前と値引き後のどちらで計算するか

返品や販売取消を記録する

販売後に返品やキャンセルが発生した場合、元の売上記録を単純に削除しないようにしましょう。記録を削除すると、以前の販売報告や精算書と数字が合わなくなる可能性があります。

  • 元の販売日
  • 返品日
  • 返品された商品
  • 返品数量
  • 返品金額
  • 返品理由
  • 精算済みかどうか
  • 次回精算で調整する金額

すでに精算済みの売上を返品する場合は、次回の精算で差し引くなどの対応が必要になることがあります。調整内容を備考欄にも残しておきましょう。

振込手数料やその他の費用を見落とさない

委託販売では、販売手数料以外の費用が差し引かれる場合があります。

  • 振込手数料
  • 出店料
  • 棚代
  • レンタルスペース代
  • 配送料
  • 包装資材費
  • 販促費
  • 決済手数料

これらを記録していないと、支払予定額と実際の入金額が一致しません。必要に応じて、費用ごとに列を分けると確認しやすくなります。

Excelの数式を上書きしない

Excel管理で起こりやすいのが、計算式を誤って削除したり、数値で上書きしたりするミスです。

  • 入力するセルと計算するセルの色を分ける
  • 数式が入ったセルを保護する
  • 数式をコピーしたあとは参照先を確認する
  • エラーが表示されていないか確認する
  • 月末に集計額と実際の入金額を照合する

数式が一部だけ上書きされると、見た目では気づきにくいことがあります。毎月の精算時には、数件を手計算して結果が一致するか確認すると安心です。

ファイルの最新版が分からなくなる

「売上管理表」「売上管理表最新版」「売上管理表最新版2」のようにファイルが増えると、どれが最新なのか分からなくなります。ファイル名には対象年月や更新日を入れましょう。

委託販売売上管理表_2026年8月.xlsx

複数人で編集する場合は、クラウドストレージ上のファイルを共有し、同じファイルを更新する方法が適しています。委託先ごとにファイルを細かく分けすぎず、販売件数が少ないうちは一つの管理表へまとめ、委託先名で絞り込む方法がおすすめです。

売上管理表と委託販売精算書の違い

売上管理表と委託販売精算書は、記載する情報が似ていますが、使用目的が異なります。

書類主な目的
売上管理表日々の販売実績や入金状況を内部で管理する
委託販売精算書売上・手数料・支払額を委託者と委託先の間で確認する
納品書委託先へ納品した商品と数量を確認する
返品書・返却表売れ残りや返品された商品の数量を確認する

売上管理表は、自分の販売状況を継続的に管理するための資料です。一方、委託販売精算書は、一定期間の売上や手数料、支払額を委託者と委託先の間で確認するために作成します。

  1. 商品を委託先へ納品する
  2. 委託先から販売報告を受け取る
  3. 売上管理表へ販売実績を記録する
  4. 売上と手数料を集計する
  5. 集計結果をもとに精算書を作成する
  6. 実際の入金額と照合する

納品数、販売数、返品数、現在庫数もあわせて確認すると、商品の紛失や数量の不一致にも気づきやすくなります。

Excel管理が向いているケース

  • 委託先が1店舗だけ
  • 商品数が少ない
  • 毎月の販売件数が少ない
  • 手数料率が一定
  • 精算書の発行頻度が少ない
  • Excelの関数や集計表を自分で管理できる
  • 管理項目を自由に変更したい

規模が小さいうちは、Excelでも十分に管理できるでしょう。まずは必要最低限の項目で始め、委託先や販売件数が増えた段階で管理方法を見直すのがおすすめです。

Excel以外の管理方法を検討した方がよいケース

  • 複数の店舗へ委託している
  • 商品数や販売件数が増えてきた
  • 店舗によって手数料率が異なる
  • 値引きや返品が多い
  • 毎月の集計に時間がかかる
  • 売上管理表から精算書へ何度も転記している
  • 数式の上書きや入力ミスが増えている
  • 売上・手数料・入金状況をまとめて確認したい
  • 複数のファイルに情報が分散している

特に、同じ数字を売上管理表、精算書、会計ソフトへ何度も入力している場合は、転記ミスが発生しやすくなります。CSVの集計機能や精算書作成機能を備えたツールを利用すると、毎月の作業を減らせる可能性があります。

売上データから委託販売精算書を作成する方法

売上管理表へ販売実績を記録したら、そのデータをもとに委託販売精算書を作成します。

  1. 委託先から対象期間の販売データを受け取る
  2. 商品名・販売数量・販売単価を確認する
  3. 売上金額を計算する
  4. 販売手数料を計算する
  5. 振込手数料などの費用を確認する
  6. 支払額を確定する
  7. 委託販売精算書を作成する
  8. 実際の入金額と照合する

月末締めであっても、委託先から届いたデータに翌月分の売上が含まれていたり、前月分の返品が反映されていたりする場合があります。販売データを確認するときは対象期間にも注意しましょう。

無料ツールで委託販売精算書を作成する

委託販売精算書メーカーでは、商品ごとの売上や販売手数料を入力して、精算内容をまとめられます。Excelで計算した金額を毎回書類へ転記する手間を減らしたい場合は、無料ツールを活用する方法もあります。

CSV形式の販売データがある場合は、先に商品別の売上や数量を集計しておくと、精算書を効率よく作成できます。

委託販売の売上管理を効率化するポイント

商品番号やSKUを統一する

商品名は入力する人によって表記が変わることがあります。「パールピアス」「パール ピアス」「ピアス・パール」が別の商品として集計されないよう、商品ごとに固有の商品番号やSKUを付け、その番号を基準に管理しましょう。

委託先ごとの手数料率を整理する

委託先ごとに、次の情報をまとめた一覧表を作っておくと、売上を入力するたびに契約書を探す手間を減らせます。

  • 委託先名
  • 通常の手数料率
  • 手数料の計算対象
  • 端数処理の方法
  • 振込手数料の負担者
  • 売上の締め日
  • 入金予定日
  • 契約期間

売上報告の書式を統一する

可能であれば、次の項目を含む共通のExcelまたはCSV形式で報告してもらいましょう。

  • 販売日
  • 商品番号
  • 商品名
  • 販売単価
  • 販売数量
  • 値引き額
  • 返品数量
  • 備考

委託先の都合で書式を統一できない場合は、自分の売上管理表へ取り込むときの変換ルールを決めておくと便利です。

毎月同じ日に売上を締める

売上を確認する日が毎月変わると、集計漏れや重複が起きやすくなります。「毎月末締め、翌月10日までに販売報告、翌月末入金」のように、業務の流れを決めておきましょう。

入金確認までを管理する

精算書を作成しただけで、売上管理を完了させないようにしましょう。支払予定額と実際の入金額を照合し、入金日を記録したところまでが一連の管理です。

金額が一致しない場合は、次の点を確認します。

  • 振込手数料が差し引かれていないか
  • 返品やキャンセルが反映されていないか
  • 販売手数料率が正しいか
  • 対象期間が一致しているか
  • 前月分の調整額が含まれていないか

確認が終わったら、入金状況を「未入金」から「入金済み」へ変更します。

委託販売の売上管理に関するよくある質問

Q. 売上は販売日と入金日のどちらで管理しますか?

販売実績を把握するための「販売日」と、代金の回収状況を把握するための「入金日」は、両方記録するのがおすすめです。販売日だけでは未入金の売上を確認できず、入金日だけでは実際に商品が売れた時期を把握しにくくなります。

会計帳簿へ記帳する時期は、取引内容や採用している会計処理によって判断が必要です。売上管理表は管理資料として使用し、帳簿への記帳方法は税理士などの専門家へ確認してください。

Q. 委託販売の手数料はどのように計算しますか?

基本的な計算式は「販売手数料=売上金額×手数料率」です。

売上金額10,000円×手数料率30%=販売手数料3,000円

ただし、税込・税抜のどちらを基準にするか、値引き後の金額を対象とするか、端数をどのように処理するかは契約によって異なります。

Q. 委託先ごとにExcelファイルを分けるべきですか?

販売件数が少ないうちは、一つの管理表へ委託先名の列を設けて管理する方法がおすすめです。フィルターやピボットテーブルを使えば、委託先別に表示・集計できます。

ただし、取扱商品や精算ルールが大きく異なる場合は、ファイルを分けた方が管理しやすいこともあります。

Q. 消費税は売上管理表に記載した方がよいですか?

税込・税抜のどちらで管理しているかが分かるようにしておきましょう。必要に応じて、税抜金額、消費税額、税込金額の列を分けます。委託販売手数料の計算対象や消費税の扱いについても、契約内容と委託先の精算書を確認してください。

税務上の処理は事業者の状況によって異なるため、不明な場合は税理士や税務署などへ確認しましょう。

Q. 売上管理表は確定申告にも使えますか?

売上管理表は、確定申告のために売上や手数料を集計する資料として活用できます。ただし、売上管理表だけで必要な帳簿や証憑をすべて代用できるとは限りません。

委託先から受け取った販売報告書、精算書、契約書、入金が確認できる通帳や明細なども、適切に保存しておきましょう。

まとめ|売上・手数料・入金状況を一つの表で管理しよう

委託販売の売上管理表には、商品名や販売数量だけでなく、委託先名、手数料、支払予定額、入金状況も記録することが大切です。

  • 売上金額・販売手数料・支払予定額を分けて記録する
  • 委託先名、商品番号、販売日を残す
  • 値引きや返品の記録を削除しない
  • 振込手数料などの費用も記録する
  • Excelの数式を誤って上書きしないようにする
  • 売上管理表と委託販売精算書の数字を照合する
  • 実際の入金を確認してから入金済みにする

委託先や販売件数が少ないうちは、Excelでも管理できます。しかし、毎月の集計や精算書への転記に時間がかかるようになったら、専用ツールの利用も検討してみましょう。

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